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日銀会合注目点:新たな物価見通しと総裁会見、円安けん制の有無

日本銀行が26日に結果を発表する金融政策決定会合では、金融政策の現状維持が見込まれています。34年ぶりの水準にある円安の影響を含めてインフレ圧力が意識される中、新たな経済・物価見通しと植田和男総裁の記者会見から追加利上げや国債買い入れなどの政策展開のヒントを探ることになります。

  日銀は前回の3月会合で17年ぶりの利上げを決めたばかりで、現在は大規模緩和からの転換による経済・物価への影響を見極める段階にあります。ブルームバーグが12-17日に実施したエコノミスト調査では、ほぼ全員が今回の会合における金融政策の据え置きを予想しています。

 

市場は既に夏から秋にかけての追加利上げを視野に入れており、今後の展開を探る上で重要なポイントとなるのが、見通し期間を2026年度まで1年延長する経済・物価情勢の展望(展望リポート)です。日銀は3月の決定の際、25年度までの見通し期間終盤にかけて2%の物価目標の持続的・安定的な実現が「見通せる状況に至った」との判断を示しており、その姿がベースとなります。

植田総裁は、物価見通し実現の確度の高まりや上振れ、上振れリスクの拡大が「政策変更の理由になる」と説明しており、新たな展望リポートで示される見通しとリスクが今後の基準になり得ると述べています。新しい枠組みの下での政策運営を探る上で、今回の会合は試金石と言えるでしょう。

 

複数の関係者によると、賃金と物価の好循環の下で、消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)は26年度にかけて2%程度で推移する姿が示される見通しです。日銀の想定を上回る今年の賃上げに加え、最近の原油高や円安などを反映し、24年度のコアCPIは従来の前年比2.4%上昇から上方修正となる可能性が大きいです。

ブルームバーグ・エコノミクスの見方は次の通りです。

「植田総裁がどの程度タカ派的なのか注目したい。また、日銀は量的引き締めの開始を発表することで、正常化への新たな一歩を踏み出す可能性もある」

 

 

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為替介入!?

24日の海外市場では、一時1ドル=155円37銭と1990年6月以来の水準まで進んだ円安に関する議論も焦点となります。植田総裁は18日のワシントンでの会見で、円安が基調的な物価上昇率に無視できない影響を与えれば政策変更もあり得ると発言。1月以降の円安について、今回の展望リポートで取り上げて「数値的にも示す」とも語りました。

円安の背景には日米金利差があり、政策変更前と同程度で継続している国債買い入れが減額されるとの見方も出ています。日銀は現在の政策枠組みにおける国債買い入れを、経済・物価に能動的に働き掛ける手段とは位置付けていません。減額が為替対応と受け取られた場合、市場は今後の国債買い入れに政策的意図を見いだそうとする可能性があり、日銀は難しい判断を迫られるでしょう。

植田総裁は基調的な物価の上昇に応じた段階的な利上げや、将来的な国債買い入れの減額とバランスシート縮小の方針を既に表明しています。会合後に公表される声明や展望リポート、総裁会見での追加的な発信が、為替相場をはじめとした金融市場に与える影響には注意が必要です。

鈴木俊一財務相は23日の参院財政金融委員会で、円安による輸入物価の上昇への懸念を表明。ワシントンで先週開かれた一連の国際会議などで為替の急激な変動への懸念を共有できたとし、為替介入の環境は整ったとの認識を示しました。22年9月の黒田東彦前総裁の会見後、政府が円買い介入を実施したことも市場では意識されています。

 

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他の注目ポイント

日銀では当面、緩和的な金融環境が継続するとの考えをフォワドガイダンス(先行き指針)とは位置付けていませんが、基調的な物価の上昇に合わせて利上げを行う方針を含め、声明や展望リポートでどのように表現するかが注目されます。従来の展望リポートでは、物価見通しについて賃金・物価が上がりにくいことを前提としたノルム(慣行)の存在を好循環の不透明要因に挙げていましたが、物価目標実現が見通せた中で、ノルムの変化にどう言及するかにも関心が寄せられています。

展望リポートの実質国内総生産(GDP)の見通しは、自動車メーカーの生産・出荷停止の影響もあり、従来の前年比1.2%増から下方修正となる公算が大きいです。

 

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