長期金利の動向
21日の日本市場では、長期金利が連日で上昇し、節目の1%に接近しました。米国の長期金利の上昇と日本銀行による国債買い入れの早期減額観測が影響し、債券売りが続いています。新発10年国債利回りは0.5ベーシスポイント高い0.98%に上昇し、これは2013年5月以来の水準です。
米国の影響と日本の対応
米国の金融当局者が政策金利維持について発言し、米金利が上昇しました。この影響を受けて、日本でも日銀の早期国債買い入れ減額や追加利上げの観測が強まっています。財務相の鈴木俊一氏は長期金利上昇について「市場環境を注視し、市場との丁寧な対話が重要」と述べ、適切な国債管理政策の実施に努める意向を示しました。
株式市場の反応
日経平均株価は3万9000円の大台を割り込み、前日比0.3%安の3万8946円93銭で取引を終えました。東証株価指数(TOPIX)も0.3%安の2759.72となりました。米半導体大手エヌビディアの決算発表待ちの影響もあり、株価は小幅安となっています。
市場の専門家の見解
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、「昨日に引き続き日銀の政策修正を意識した売りが継続し、上値が重い」と述べています。また、フィリップ証券の増沢丈彦株式部トレーディング・ヘッドは、「22日の米エヌビディア決算待ち」と指摘し、決算発表が市場のムードを変える可能性があると述べました。
為替市場の動向
東京外国為替市場では、円相場が1ドル=156円台前半から半ばで小動きとなっています。米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの利下げ慎重姿勢が米長期金利を押し上げ、ドルが買われました。ソニーフィナンシャルグループの石川久美子シニアアナリストは、「日本が利上げするまで日米実質金利差でドル高・円安の圧力が続く」と述べています。
まとめ
21日の日本市場は、長期金利の上昇とエヌビディアの決算待ちで波乱含みの展開となりました。日銀の政策修正への期待と警戒感が交錯し、今後の動向が注目されます。市場参加者は引き続き米国の経済指標と日本の金融政策に注視する必要があります。