ゴールドマン・サックスの分析
ゴールドマン・サックス・グループは、米連邦準備制度理事会(FRB)が金利を据え置く一方で、他の国や地域が借り入れコストを引き下げる場合、ドル高が長期化する可能性が高いと指摘しています。カマクシャ・トリベディ氏とジョセフ・ブリッグス氏が率いるストラテジストチームによると、FRBの金利据え置きが続く中で多くの国が国内で金融緩和を進めると、政策の乖離がドル高を長期化させる可能性が高いとしています。
世界の金利動向
ストラテジストたちは、カナダ、英国、ユーロ圏が6月に利下げを行うと予想しています。今年、ドルは10カ国・地域(G10)通貨すべてに対して上昇しており、ブルームバーグ・ドル・スポット指数は年初から約3%上昇しています。4月の米インフレ率が穏やかだったことを受け、トレーダーは当初、今年2回の利下げを見込んでいましたが、現在は再び疑問視しています。
米国と欧州の政策動向
ウォラーFRB理事は21日に、「今後3-5カ月にわたってデータが軟化し続ければ、今年末の利下げも検討できる」と述べました。一方、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、消費者物価の急激な伸びは抑制されているとの認識を示し、6月に利下げの「可能性は高い」と語りました。
マクロ環境と政策乖離
ゴールドマン・サックスのストラテジストたちは、「マクロ環境と潜在的な政策乖離がより明確になっているところでは、金融当局は通貨の変動を抑制するためにFRBのシフトを注視している」と指摘しています。世界中の中央銀行がFRBよりも「早く、より積極的に」利下げを行えば、米国がインフレ目標を達成する助けになるかもしれないと付け加えています。